縄文時代、弥生時代、古墳時代、飛鳥時代、平安時代など日本古代史の出来事と検討課題の考察を行う。考古学の成果も取り入れ、事実に基づき、合理的な歴史の再構築を図る。

孔雀文刺繍幡身(くじゃくもんししゅうのばんしん)は正倉院に収蔵されている両面刺繍を施した幡身の断片である。

概要

幡身に紫の綾を使用する。幡身に両面刺繍がある。左右に繧繝夾纈?染の絁の縁がある。両面から刺繍があることから、寺院の堂内や法会の場を飾った幡身の一部と考えられる。他の天平時代の刺繍と同様に撚りをかけない光沢のある平糸が使用されてる、平縫が主体である。木の幹や草花の茎などの細い部分には鎖縫が使われている。日本製と推測されている。当時の刺繍技術を知るための貴重な資料である。

模様

紫綾に孔雀、果樹、草花などを刺繍した縦長の裂である。地裂の綾には獅子・花・雲・唐草などが織り出されている。夾纈?の文様は9.5cmを1パターンとして繰り返し、緑・黄・赤の繧繝に彩色する。丈4cmごとに横方向に裁断し、細長く帯状に縫い継いだものを使用する。幡身と幡縁の縫い合わせには黄緑の絹糸が並縫が使用される。縫い合わせの下に墨線が書かれる。縫い合わせ位置を示す見当線か、刺繍の両面を仕切る枠線と思われる。

材質

黄色は蛍光X線分析により黄蘖と同定した。赤色、青色の染料に材料は不明であった。黄色部分は茜が示唆された。

展示歴

  1. 1946年 - 第1回
  2. 1951年 - 第5回
  3. 1959年 - 皇太子殿下御結婚記念、正倉院宝物展(東京国立博物館
  4. 1964年 - 第17回
  5. 1970年 - 第25回 万国博美術館
  6. 1981年 - 昭和天皇満80歳記念。特別展『正倉院宝物』(東京国立博物館)
  7. 1992年 - 第44回
  8. 1995年 - 第47回
  9. 2006年 - 第58回
  10. 2020年 - 第72回

管理

  • 名称 :孔雀文刺繍幡身
  • 倉番 :南倉 180
  • 用途 :仏具
  • 技法 :染織
  • 寸法 :縦81.2 横30.0
  • 材質:紫綾に刺繍 縁は暈繝夾纈絁、絹

関連宝物

  • 彩絵仏像幡?
  • 大幡残欠?
  • 夾纈絁幡?
  • 錦道場幡?
  • 羅道場幡?
  • 綾継分房付幡?
  • 夾纈羅幡?
  • 纐纈布幡?
  • 二重縁幡?

参考文献

  1. 奈良国立博物館(2008)『正倉院展六十回のあゆみ』奈良国立博物館
  2. 田中陽子彦、中村力也、成瀬正和(2008)「染織品」正倉院紀要30号,pp.96-98

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