縄文時代、弥生時代、古墳時代、飛鳥時代、平安時代など日本古代史の出来事と検討課題の考察を行う。考古学の成果も取り入れ、事実に基づき、合理的な歴史の再構築を図る。

正倉院展(しょうそういんてん,Shosoin Exhibition)は奈良県奈良市にある正倉院宝物の中から毎年40件から80件ほどを選んで奈良国立博物館で一般公開する工芸美術の展覧会である。1946年?(昭和21年)に始まり、以降は毎年1回、一般公開されている。正倉院展は奈良国立博物館で開催される展覧会の名称であり、東京開催は「特別展」という。

概要

正倉院は奈良時代に建立された東大寺の倉庫で、聖武天皇の遺愛の品々を中心として約9000件の宝物を保管している。戦前は非公開であった。
毎年5月中頃に宮内庁正倉院事務所より出陳する宝物の内示がある。博物館の研究員が展示図面に落とし込み、配置や展示ケース、展示順、コーナー分けを決める。宝物を選ぶ基準は、宝物の全容が分かるように、分野や倉に偏りがないように選ばれる。また正倉院事務所の特別調査の成果を紹介するため、関連する宝物が選ばれることがある。一度出陳された宝物は、その後、10年以上出陳されないことが通例であるが、例外もある。
正倉院宝庫は毎年秋に勅封が解かれ、宝物の点検が行われる。その時期に合わせて宝物を一般に公開している。正倉院宝物の中から毎年60件ほどを選び公開する。2020年以降(2022年についても同様)は新型コロナウイルス流行の影響から「前売日時指定券」のみの発売となっている。入れ替え制ではないものの、事実上の「人数制限」となる。

綿布団

宝物を包むため薄葉紙と綿布団を用いる。綿布団は薄葉紙の梱包用薄紙で真綿をくるんだものである。

第1回正倉院展

1946年?(昭和21年)10月、奈良国立博物館において、第1回とは名が打たれていないものの、「正倉院御物特別拝観」としてその後に続く展覧会があった。当時の博物館長が東大寺まで足を運び、「御物拝観許可のため、大仏殿にて法要を行ってもらいたい」管長に依頼した。東大寺の一山会議の結果、9月18日に公開のための無障碍安全法要と11月11日に無事終了のため無障碍法要が行われた。
出陳御物は、奈良帝室博物館収蔵庫に分散疎開中のものから、33点が選定された。10月19日は知名人が招待され、20日は進駐軍を招待、21日から一般公開となった。終戦後の混乱期であったが、奈良国立博物館開設以来の盛況で、期間中の観覧者は14万7千人であった。入館待ちの人々が東大寺大仏殿南大門前に至るまで長蛇の列をなした。以来、奈良国立博物館で年1回展示公開されるようになった。2021年には第73回の正倉院展が開催された。

法要

開幕の2週間前までに博物館と正倉院の全職員が揃い、東大寺大仏殿で無障碍法要を行う。第一回展で最初に法要が行われ、以降毎回行われる。閉幕後は満願法要が行われる。

東京開催

これまで正倉院宝物の東京開催は5回ある。
  1. 1940年11月5日から27日、帝室博物館、皇紀2600年記念正倉院御物特別展
  2. 1949年10月30日から11月13日、東京国立博物館、御物特別展。
  3. 1959年11月1日から11月20日、東京国立博物館、皇太子殿下御結婚記念。
  4. 1981年10月31日から11月25日まで、東京国立博物館、昭和天皇満80歳記念。
  5. 2019年10月14日から11月24日(日)、東京国立博物館、即位記念。

即位記念特別展

2019年?10月14日(月) 〜 2019年11月24日(日)には御即位記念特別展「正倉院の世界―皇室がまもり伝えた美―」が東京国立博物館で開催された。38年ぶりの大規模な正倉院宝物の東京公開であった。螺鈿紫檀五絃琵琶紫檀木画槽琵琶漆胡瓶、黄熟香(蘭奢待)、紺夾纈絁几褥?平螺鈿背八角鏡、東大寺献物帳(国家珍宝帳)などの名品が展示された。

展示会の来歴

回数は、奈良での開催を表す。1949年?1959年?は東京のみで開催された。
開催回数開始日終了日目玉品出品点数来場者数
第74回2022年10月29日2022年11月14日漆背金銀平脱八角鏡,銀壺 全浅香59点87,672名
第73回2021年10月30日2021年11月15日螺鈿紫檀阮咸, 漆金薄絵盤55点73,968名
第72回2020年10月24日2020年11月9日平螺鈿背円鏡 ,紫檀槽琵琶59点36,000名
第71回2019年10月26日2019年11月14日七条織成樹皮色袈裟,赤漆文欟木御厨子41件13,856名
第70回2018年10月27日2018年11月12日平螺鈿背八角鏡,最勝王経帙56件14,461名
第69回2017年10月28日2017年11月13日羊木臈纈屏風,伎楽面 木彫第57号58件12,768名
第68回2016年10月22日2016年11月7日漆胡瓶,花虫背八角鏡64件12,271名
第67回2015年10月24日2015年11月9日七条褐色紬袈裟,紫檀木画槽琵琶63件13,011名
第66回2014年10月24日2014年11月12日白瑠璃瓶,鳥獣花背円鏡59件13,467名
第65回2013年10月26日2013年11月12日漆金薄絵盤,平螺鈿背円鏡66件14,486k名
第64回2012年10月27日2012年11月12日螺鈿紫檀琵琶,木画紫檀双六局64件14,001名
第63回2011年10月29日2011年11月14日七条織成樹皮色袈裟,金銀鈿荘唐大刀62件14,093名
第62回2010年10月23日2010年11月11日山水夾纈屏風,鳥獣花背八角鏡71件14,740名
第61回2009年10月24日2009年11月6日紫檀木画槽琵琶,金銀花盤66件14,964名
第60回2008年10月25日2008年11月10日全浅香,漆皮箱69件12,762名
第59回2007年10月27日2007年11月12日花鳥背八角鏡,新羅琴金泥絵木形70件248,389名
第58回2006年10月24日2006年11月12日白石鎮子戌・亥,赤銅合子68件283,515名
第57回2005年10月29日2005年11月14日平螺鈿背八角鏡,瑠璃壺69件234,391名
第56回2004年10月30日2004年11月15日鳥獣背八花鏡,楓蘇芳染螺鈿槽琵琶75件131,978名
第55回2003年10月25日2003年11月15日平螺鈿背円鏡,白瑠璃高坏66件143,904名
第54回2002年10月26日2002年11月11日桑木阮咸,紫檀槽琵琶66件141,381名
第53回2001年10月27日2001年11月21日蘇芳地金銀絵箱,紫檀木画挟軾75件166,002名
第52回2000年10月28日2000年11月13日螺鈿紫檀琵琶,青斑石鼈合子78件116,943名
第51回1999年10月26日1999年11月14日鳥毛立女屏風,樺纒把鞘白銀玉虫荘刀子76件151,351名
第50回1998年10月24日1998年11月9日漆胡瓶,漆縁きょじょ双六局龕74件132,739名
第49回1997年10月25日1997年11月10日沈香木画箱,花鳥背円鏡73件138,919名
第48回1996年10月26日1996年11月11日碧地金銀絵箱,刻彫梧桐金銀絵花形合子75件142,787名
第47回1995年10月27日1995年11月9日紅牙撥鏤尺,密陀絵皮箱75件180,602名
第46回1994年10月22日1994年11月7日仏像型,刻彫尺八72件133,814名
第45回1993年10月23日1993年11月11日新羅琴,檜和琴74件162,986名
第44回1992年10月31日1992年11月16日山水夾纈屏風,馬鞍74件145,243名
第43回1991年10月26日1991年11月11日赤銅合子,桑木木画碁局77件163,491名
第42回1990年10月27日1990年11月15日桑木阮咸,漆金薄絵盤79件212,222名
第41回1989年10月28日1989年11月13日柿柄麈尾?,銀平脱八稜形鏡箱77件155,530名
第40回1988年10月22日1988年11月7日鳥毛立女屏風,鳥獣花背円鏡72件181,088名
第39回1987年10月24日1987年11月9日全浅香,衲御礼履78件162,847名
第38回1986年10月25日1986年11月10日玳瑁螺鈿八角箱,馬鞍77件184,573名
第37回1985年10月26日1985年11月11日仮斑竹笙?,金銀平脱皮箱83件185,589名
第36回1984年10月28日1984年11月11日白石鎮子子・丑?,刻彫尺八75件153,765名
第35回1983年10月23日1983年11月6日瑠璃坏,磁鼓65件156,071名
第34回1982年10月24日1982年11月6日紫檀木画槽琵琶,磁鉢?66件177,884名
第33回1980年10月6日1980年11月6日紫檀木画槽琵琶,磁鉢?66件177,884名
第32回1979年10月21日1979年11月4日平螺鈿背円鏡,白布?74件174,012名
第31回1978年10月22日1978年11月5日密陀絵盆?,山水図?76件160,357名
第30回1977年10月23日1977年11月6日御袈裟箱,粉地彩絵八角几67件180,560名
第29回1976年10月24日1976年11月7日白葛箱?,鳥木石夾纈屏風?74件138,739名
第28回1975年10月26日1975年11月9日紅牙撥鏤棊子?,木画紫檀双六局76件145,976名
第27回1974年10月27日1974年11月10日三合鞘御刀子?,犀角坏?64件130,537名
第26回1973年10月28日1973年11月11日密陀彩絵箱,黒柿両面厨子66件127,944名
第25回1972年10月22日1972年11月5日吹絵紙?,火舎?61件107,061名
第24回1971年10月17日19719年10月31日金銅花形合子?,佐波理皿?61件80,031名
第23回1970年10月25日1971年11月8日緑瑠璃十二曲長坏,磁皿?70件93,667名
第22回1969年10月22日1971年11月5日雑色瑠璃?,白石鎮子白虎・玄武71件74,581名
第21回1968年10月20日1968年11月3日色麻紙,白墨?64件74,012名
第20回1967年10月22日1967年11月5日黄銅合子,犀角如意?77件81,787名
第19回1966年10月23日1966年11月7日紫檀木画挟軾, 緑牙撥鏤尺?72件84,507名
第18回1965年10月24日1965年11月7日麟鹿草木夾纈屏風?,長斑錦御軾101件60,727名
第17回1964年10月25日1964年11月8日漆胡瓶,桑木木画碁局95件111,611名
第16回1963年10月20日1963年11月3日緑瑠璃十二曲長杯?,琵琶84件48,609名
第15回1962年10月21日1962年11月4日螺鈿紫檀琵琶,平螺鈿八角鏡?88件51,372名
第14回1961年10月22日1961年11月5日銀鉢?,紫檀金鈿柄香炉?82件46,435名
第13回1960年10月23日1960年11月6日螺鈿紫檀阮咸,山水人物鳥獣背面鏡?84件42,301名
第12回1958年10月21日1958年11月3日磁瓶?,酔胡王面?54件34,939名
第11回1957年10月21日1957年11月3日金銀荘横刀,漆葛胡禄50件36,757名
第10回1956年10月21日1956年11月3日東大寺献物帳,螺鈿紫檀五絃琵琶64件60,936名
第9回1955年10月21日1955年11月3日杜家立成,金銀平文琴72件39,160名
第8回1954年11月1日1954年11月14日銀壺,金銅幡62件43,118名
第7回1953年11月1日1953年11月14日鳥毛篆書屏風,銀薫爐63件49,350名
第6回1952年10月15日1952年10月28日螺鈿楓琵琶?,天平宝物筆?83件41,652名
第5回1951年10月26日1951年11月4日琵琶袋残欠,孔雀花卉文刺繍紫綾幡身?85件21,028名
第4回1950年11月1日1950年11月14日平螺鈿背円鏡,白瑠璃瓶60件43,118名
第3回1948年10月29日1948年11月10日紫檀木画槽琵琶,鳥毛立女屏風33件48,336名
第2回1947年10月27日1947年11月15日黄熟香,螺鈿箱33件72,351名
第1回1946年10月21日1946年11月9日紫檀木画双六局,白瑠璃碗33件147,487名

参考文献1

  1. 奈良国立博物館(2008)『正倉院展 六十回のあゆみ』奈良国立博物館

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