概要
下垣仁志による威信財の定義は「生存の継続には必要ないが、社会関係をの構築と維持に不可欠な、外部からもたらされ上位者から分配される貴重財」とする(参考文献1)。
威信財の理論に総合化志向と個別化志向がある。個別化志向は器物を交換する側面に着目する。総合化志向は威信財を使用した社会システムに着目する。
威信財は単なる貴重な宝物としてではなく、特定の社会段階において、威信財が親族関係や社会編成を結節するメカニズムを論じる。権力資源論では、富裕物資材として取り扱う。
1970年代の総合化志向ではマルクス主義人類学と文化人類学を融合させ、威信財の流通が婚姻関係と結びついて、そのメカニズムが社会体制の維持・再生産・発展を促進したと見る(参考文献1)。禹在柄は儀器的威信財から権力型威信財への転換を指摘する。
事例
旧石器時代の精製石器、縄文時代の硬玉製大珠、弥生時代の中国製鏡、青銅器、近世の陶磁器など。