古代史の散歩道 - 伎楽面力士
伎楽面力士
(ぎがくめんりきし)は、
正倉院
に保存されている伎楽で用いられる力士の面でである。
概要
百済からの渡来人
味摩之
(みまし)によって伝えられた伎楽は、平安初期頃まで寺院における
法会
で盛んに上演された。本作は
力士
?
の役柄の伎楽面である。桐製で、頭部に髷を結い、肌は赤銅色に仕上げる。
構造
製作者
面裏の「前一」「東大寺<将李魚成作>」「天平勝宝4年(752)4月9日」の墨書から天平勝宝4年の
大仏開眼会
?
で行われた四組の伎楽で用いられた面である。作者は「前一」の組を製作した
将李魚成
?
であった。将李魚成は伎楽面の代表的な製作者である。
顕微鏡による観察の結果、口ひげ、顎鬚、頬髯は猪の毛を植毛したものと判定された。
類例
東京国立博物館
に木造伎楽面(
法隆寺
献納)がある。筋骨たくましい偉丈夫を思わせる力士の面で、下唇を強く噛み、凄まじい忿怒を表す。面は全面に朱色かけられているが、その剥落した下から緑青がみられる。また
奈良国立博物館
に鎌倉時代の伎楽面(力士)がみられる。
管理
名称:伎楽面 木彫 第24号
倉番:南倉 1
用途: 楽器・楽具
技法:木竹工
寸法:縦35.9 横23.5 奥行31.8
材質・技法 :桐 黒漆地 顔面は彩色(白下地赤塗 一部は赤・銀彩・墨描) 油塗 ヒゲは植毛(猪毛) 絹糸
出展歴
名称:笙 第1号
1952年 - 第6回
1958年 - 第12回
2009年 - 第61回
2022年 – 第74回
参考文献
奈良国立博物館
(2008)『正倉院展60回の歩み』奈良国立博物館
奈良国立博物館
(2022)『正倉院展第74回』仏教美術協会