古代史の散歩道 - 桐木琴残欠
桐木琴残欠
(きりのきのきん ざんけつ,Seven Stringed Zither)は、
正倉院
に保存されている楽器の断片である。
概要
用途不明の絃楽器である。琴に似ており、七弦をもつ。裏板の中央に「
東大寺
」の刻銘がある。
構造
桐の一木から彫り出した槽の背面を内刳りし、裏板を付ける。槽頭部の端を花弁状に切り込み、短い臨岳痕には7個の通絃孔がある。裏板は檜製で、転手匣(南倉177七絃楽器残欠)が付く。中央に長方形の音孔をつけ、頭部には通弦孔をつける。
表面は頭部を花形につくる。和琴に似る短い臨岳痕がつく。楽器の名称や用途は未確定であるが、音律を測定する準にあたるものとの説がある。転手は
黒柿
製、絃蔵は柘植様材。
管理
名称:桐木琴残欠
倉番:南倉 99
用途:楽器・楽具
技法:木竹工
寸法:全長120.0 頭部幅18.5 尾部幅17.5
材質・技法 :槽は環孔材 裏板は檜 転手匣は黄楊木 軫は
黒柿
出展歴
1949年 –
東京国立博物館
、御物特別展。
1955年 - 第9回
1967年 - 第20回
1980年 - 第33回
1992年 - 第44回
2004年 - 第56回
2018年 - 第70回
参考文献
奈良国立博物館
(2008)『正倉院展60回の歩み』奈良国立博物館
関根真隆(1980)「木材材質調査」正倉院年報2号,p.70
貴島恒夫・嶋倉巳三郎・林昭(1981)「正倉院宝物の木材材質調査報告」正倉院年報3号,p.7