概要
墳丘斜面に葺石があり、崩落土から出土した特殊器台型埴輪・特殊壺型埴輪の状況から、これらが墳丘に立て並べられていたことが推測される。古式な三角縁神獣鏡の組合せと特殊器台型埴輪・特殊壺型埴輪が同伴して出土している例として知られる。発掘調査を主導した近藤義郎は、「年来待ち望んでいた都月型円筒埴輪と三角縁神獣鏡の共伴関係がこの権現山古墳で初めて捉えられた喜び」を語る。日本最古の古墳の1つ。吉備で発生した埴輪の祖型、特殊器台と、大和的ない三角縁神獣鏡という、2つの政治的意味合いの濃い遺物が出土したことにより、吉備と畿内の2つの文化の統合された葬送儀礼の最古の姿が浮かび出る。
遺構
埋葬主体は、後方部に墳丘主軸と直交して設けられた竪穴式石室である。
鏡
天王日月吉獣文帯四神四獣鏡・張氏作三神五獣鏡・吾作三神五獣鏡・陳是作四神二獣鏡・波文帯四神二獣鏡。鏡は二段階までの古い形式のみである。
被葬者
遺存していた人骨から壮年後半から熟年の男性被葬者と推定。