財団法人泉屋博古館と財団法人高輝度光科学研究センターは大型放射光施設(SPring-8)を用いて、古代青銅鏡の
蛍光X線分析を行った。青銅鏡の主要成分である銅・錫中に含まれる微量成分の銀・アンチモンを高精度で分析することに主眼をおいた分析を中国・日本の古代鏡に関して行った。中国・日本の古代青銅鏡では、その製作時期・製作地域により微量成分特性に違いがあることが判明した。銀・アンチモンの2種類の微量成分に着目した。
泉屋博古館?収蔵の青銅鏡95面を対象に測定を行った。内訳は紀元前3世紀から紀元3世紀にかけて中国で製作された鏡69面、紀元3世紀から4世紀にかけて日本で製作された鏡18面、
三角縁神獣鏡8面である。その結果、時期と地域により、微量成分数値で大きく4グループを抽出できた参考文献1)。すなわち、
- 戦国時代〜秦時代グループ(中国:紀元前3世紀)、
- 前漢前期グループ(中国:紀元前2世紀)、
- 前漢後期〜三国西晋時代グループ(中国:紀元前1世紀〜紀元3世紀)、
- 古墳時代グループ(日本:紀元3世紀〜5世紀)