概要
人勝は六朝時代に中国南部で行われた年中行事で、人日長寿や子孫繁栄を願っい、色絹や金箔を切りぬいて人や花の形に作り飾った。856年(斎衡3年)の「雑財物実録」に757年(天平宝字元年)の献物として2枚の人勝が記載される。現存する人勝残欠は両方の断片を継ぎ合わせたものである。人や動植物の形に切り抜いて彩色した絁、金箔の縁飾り等の残片を一枚に併せた。
現存品の中央付近に「令節の佳辰(よきひ)、福慶惟新たなり、やわらぎ和むこと万載、寿保つこと千春」と佳祥句を表す。金箔は剥落し、黒漆地のみ残る。浅緑染めの絁に墨書きの樹、絁に彩絵の花卉、岩、童子、小動物の尾部、緑の金箔裁文等は片方の残欠とみられる。