概要
日本の東洋史学界をリードする。第13期日本学術会議会員。中国前近代史、東アジア史の権威であった。古厩忠夫は東京大学を定年退官する西嶋定生を新潟大学に迎えるため、甘粕健とともに我孫子の自宅を訪れ、り好きの先生を説得しようと「新潟の海は鯛の釣り場が…」とにわか仕込みの宣伝を始めると、先生は「あそこは粟島のタイと佐渡沖の…」と立て板に水の如く釣り場を列挙したという。東洋文化講座設立のため、講座の柱になるスタッフとして招聘した。就実女子大学の図書館開設の際、貴重な約2万冊の蔵書を寄贈した。東洋史関係が中心で、『二十四史』『清史稿』『四部叢刊』をはじめとする漢籍や、古代史、考古学等日本史関係の和書、専門誌であった。西嶋による冊封体制論は著名であり、冊封に着目することによって東アジア諸国の間に相互連関関係があることに一定の回答を与え、「東アジア世界」という「その中で完結した世界」の存在を提唱した。