古代史の散歩道 - 石船戸遺跡
石船戸遺跡
(いしふなといせき)は、新潟県阿賀野川市にある
縄文時代
晩期の遺跡である。
概要
阿賀野川市は東の五頭山を背にして、西に阿賀野川が流れる低地に広がる縄文時代晩期の初頭から中葉の集落遺跡である。阿賀野川右岸の自然堤防に立地する。
塊状のアスファルトと加熱に使用した土器、塗布に使用した用具が多量に出土しており、産油地で採取した塊を集落内に持ち込み、熱で溶かしながら利用していた様子が伺える。
土器は精製品と粗製品があり、精製土器は東北地方一円に分布する「亀ヶ岡式土器」と共通した特徴をもつ。
調査
1966年(昭和41年)から1967年(昭和42年にかけて排水路造成工事の際に発見された。応急的な発掘調査により、大量の土器・石器が発見された。
2012年(平成24年度)から2014年(平成26年度)にかけて本格的な発掘調査を実施した。
集落は南東から北西に伸びる幅約80mの微高地に広がる。
遺構
竪穴式建物
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、掘立柱建物、土坑・埋設土器からなる。微高地の南と北の斜面上に土器などが捨てられた廃棄場があり、集落北に集石遺構がある。
遺物
出土した土製の錘は、網を使って魚とりをした証拠となる。土器は晩期前半の大洞B式が主体を占め、BC式土器もある。
遮光器土偶
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は新潟県内で最大である。首の破損部分にアスファルトが付着し、何度も修復した跡がうかがえる。細部まで丁寧に文様が描かれている。ほかに動物型土製品、岩版などは東北の影響を受けている。
土偶、石棒、羊歯状文・K字状文・三叉文を施した甕・鉢・壺・注口土器が出土する。
アスファルト
アスファルトの使用
アスファルトの塊が64点出土した。塊状のアスファルトと加熱に使用した土器、塗布に使用した用具が多量に出土しており、産油地で採取した塊を集落内に持ち込み、熱で溶かして利用したと推測される。
アスファルトは石油の一種であり、粘着性が高いため、土器の補修や石鏃の着柄に用いられた。アスファルトが付着した土器は1300点以上が出土している。
アスファルトが採取できるのは新潟・秋田など日本海側の石油産出地に限られる。そのため、多くの地域には交易品としてもたらされたと考えられて
指定
2023年3月 - 新潟県有形文化財(考古資料)
阿賀野市の所有する石船戸遺跡から出土した土器や石器など824点について、東北地方を中心に分布する「亀ヶ岡式土器」の文化圏の日本海側南端の様子を示す資料であるとともに縄文時代晩期の交易を考えるうえで学術的価値が高いとされた。
時期
縄文時代晩期初頭から前葉(約3100年前から3000年前)
アクセス
名称:石船戸遺跡
所在地:新潟県阿賀野市堀越字石船戸
交 通:JR水原駅から10km、徒歩2時間15分。
参考文献
文化庁(2020)『発掘された日本列島 2020』共同通信社