1874年(明治7年)8月、奈良県権令藤井千尋のすすめで、植村久道・鳥居武平ら奈良町の有力者が中心となって奈良博覧会社を設立し、翌1875年(明治8年)4月1日から6月19日までの80日間、東大寺大仏殿と廻廊を会場に第一次奈良博覧会が開かれた。書画、古器古物、動植物標本、機械類が展示された。東大寺・法隆寺・春日大社など大和の有力な社寺や諸家が所蔵する什宝や書画などが、多数出品され、また明治5年の壬申検査で開封された正倉院御物が出陳された。正倉院から鳥毛立女屏風、紅染象牙尺、黄熟香、紫壇碁局、金銅投壷、木製黒漆水瓶などの超名品が出品された。
1875年(明治8年)の奈良博覧会で
赤漆文欟木御厨子の1枚の扉が紛失した。博覧会の関係者で奈良県権令の藤井千尋の自宅で発見され、返却された(由水常雄(2006))。