縄文時代、弥生時代、古墳時代、飛鳥時代、平安時代など日本古代史の出来事と検討課題の考察を行う。考古学の成果も取り入れ、事実に基づき、合理的な歴史の再構築を図る。

漆金薄絵盤(うるしきんぱくえのばん,Lotus-flower-shaped Pedestal for Incense Burner,Wood with Painting,Known as “koin-za”)は正倉院に伝わる香を焚くための炉盤の台座である。通称「香印坐」と呼ばれる。

概要

 同型・同大の甲号と乙号とがある。両者で1対として仏前に捧げられたと考えられている。
岩座の上に各段八枚の蓮弁を四段に重ねる。中心に半球状の蓮肉を据える。岩座・蓮弁・蓮肉は木製である。岩座の裏に「香印坐」の墨書がある。台はヒノキ材製であるが、岩を模した形状と彩色を施す。

構成

木製の岩座から銅製の柄をのばし、その先端に木製の蓮弁?計32枚をつける。蓮弁は金箔の覆輪をまわし、内区は赤、青または金箔の地に宝相華が描かれ、加えて鳳凰、獅子、水禽、オシドリ、迦陵頻伽(人面鳥)、花喰鳥含綬鳥、草花などが描かれる。
蓮弁が魚麟状になるように互い違いに配置する。赤、青、緑、紫、黄色の組み合わせが華麗であり、色彩が対比されている。迦稜頻迦は仏教で雪山または極楽に住むという想像上の鳥である。

材料

顔料として鉛白・朱・鉛・緑青・群青等の鉱物系の顔料のほか、藤黄・臙脂・藍等の有機物系の顔料が使用されている。蓮弁はクスノキ材製で漆を塗る。漆金薄絵盤のクスノキは導管が大きめの散孔材で周囲に状柔細胞らしいものが認められた(参考文献1)。

由来

741年(天平13年)、東大寺阿弥陀浄土院に「香印坐花」が安置された記録がある。第10代遣唐使?による招来品の可能性が高い。

出展歴

漆金薄絵盤 甲

  1. 1990年 – 第42回
  2. 2013年 – 第65回

漆金薄絵盤 乙

  1. 1993年 – 第45回
  2. 2021年 - 第73回

管理

名称 : 漆金薄絵盤 甲

  • 倉番 : 南倉 37
  • 用途 : 仏具
  • 技法 : 木竹工
  • 寸法 : 径56.0cm,総高17.0cm
  • 材質 :蓮弁は木製 黒漆塗 彩色(白下地・赤・橙・白・淡青・青・緑・淡緑・黄・紫・淡紫・金箔押・墨描) 柄は銅製で緑塗 鉄釘 蓮肉は木製 黒漆塗 金箔押 彩色(赤) 岩座は木製 彩色(緑・褐色)

名称 :漆金薄絵盤 乙

  • 倉番 : 南倉 37
  • 用途 : 仏具
  • 技法 : 木竹工
  • 寸法 : 径55.6cm,総高18.5cm
  • 材質 :蓮弁は木製 黒漆塗 彩色(白下地・赤・橙・白・淡青・青・緑・淡緑・黄・紫・淡紫・金箔押・墨描) 柄は銅製で緑塗 鉄釘 蓮肉は木製 黒漆塗 金箔押 彩色(赤) 岩座は木製 彩色(緑・褐色)

参考文献

  1. 貴島主夫・嶋倉巳三郎・林昭三(1981年)「正倉院宝物の木材収集調査報告」正倉院紀要3号
  2. 奈良国立博物館(2021)「第73回正倉院展」仏教美術協会

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