縄文時代、弥生時代、古墳時代、飛鳥時代、平安時代など日本古代史の出来事と検討課題の考察を行う。考古学の成果も取り入れ、事実に基づき、合理的な歴史の再構築を図る。

‘'金銀鈿荘唐大刀''(きんぎんでんかざりのからたち,Sword Mounting with Gilt-Silver Fittings inlaid with Jewels and with Makie-Decoration)は正倉院に収蔵されている金銀珠玉荘の太刀?である。

概要

装飾の華麗な太刀である。国家珍宝帳に記載される。国家珍宝帳に大刀100口が記載されているが、現存するのは本品のほか杖刀2口把だけである。「唐大刀」は唐風の大刀の意味である。
本品は木心に鮫皮を乗せ、把頭には唐草文の透彫金具をはめる。鞘は木製で動物皮を張り、黒漆を塗布する。鳥獣・飛雲を「末金鏤」(まつきんる)と呼ばれる研ぎ出し蒔絵技法により表す。帯執などの金具に唐唐草文透彫金具を用いる。金具に水晶・色ガラス(緑琉璃・蒼瑠璃)などをはめる。

製作技法

蒔絵技術者で重要無形文化財保持者(人間国宝)の室瀬和美は和20年代末と40年代中頃に行われた正倉院宝物の漆芸調査を踏まえ、蒔絵の金粉の大小混在、金粉文様の周囲に、縁取りをしたかのような濃い色の漆があることなどに注目した。濃い色の漆は金粉を定着させる「粉固め」のためと判断し、周辺に広がる4層の塗り込みと合わせ、計5回の漆が塗り重ねられていると結論付けた(参考文献2)。金粉の大きさが大小不ぞろいなのは、鑢(やすり)の目が不ぞろいで、三角形の先端の向きがバラバラで、切れ味も鈍いことによると判断した。中国製か日本製かは断定できないという。唐大刀の名称から唐製とする説と、中国では末金鏤という言葉や該当する技法が見られないなどの理由から日本製とする説とがある。

国家珍宝帳

金銀鈿荘唐大刀 一口 刃長二尺六寸四分 鋒者両刃 鮫皮把作山形 葛形裁文 鞘上末金鏤作 白皮縣 紫皮帯執 黒紫羅帯 緋地高麗錦袋浅緑綾裏

正倉院の漆芸調査で「末金鏤」の技法は後世の研ぎ出し蒔絵と同じと評価された。

展示歴

  1. 1956年 – 第10回
  2. 1981年 - 特別展『正倉院宝物』(東京国立博物館)
  3. 1990年 – 第42回
  4. 1997年 - 日本のかたな (東京国立博物館)
  5. 2011年 - 第63回

管理

  • 名称 :金銀鈿荘唐大刀
  • 倉番 :北倉 38
  • 用途 :武器・武具
  • 技法 :漆工
  • 寸法 :全長99.9 把長(鍔含)18.5 鞘長81.5 身長78.2 茎長13.6
  • 材質:把は鮫皮巻 白皮懸 鞘は木製皮貼黒漆塗 末金鏤 透し金具は銀台鍍金 荘玉は色ガラスと水晶 帯執は紫皮

参考文献

  1. 奈良国立博物館(2008)「正倉院展60回のあゆみ」奈良国立博物館
  2. 室瀬和美(2011)「金銀鈿荘唐大刀の鞘上装飾技法について」正倉院紀要33号,pp.1-16

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