縄文時代、弥生時代、古墳時代、飛鳥時代、平安時代など日本古代史の出来事と検討課題の考察を行う。考古学の成果も取り入れ、事実に基づき、合理的な歴史の再構築を図る。

紫檀槽琵琶(したんそうのびわ,Four-Stringed Biwa-Lute)は、正倉院に保存されている四弦琵琶である。

概要

長梨形の胴と曲がった頚を持つ四絃の琵琶である。胴の背面に螺鈿などの装飾がない簡素なつくりだが、槽と鹿頚は紫檀の一木から作り出し、転手は黒檀海老尾?・絃門は柘植?、腹板は環孔材の三枚矧ぎとする(参考文献2)。諸地域で産出する様々な材を用いている。捍撥と落帯の革は、彩絵後に全面に油を塗る密陀絵?の一種で描かれている。捍撥に水面から飛び立つ雌雄のつがいの水鳥(マガモとみられる)に襲いかかろうとする猛禽(シロハヤブサとみられる)の山水画が描かれ、古代の絵画資料となる。

X線回折

捍撥についてX線回折(X線蛍光分析)を実施した。X線を当てると緑色と金色部分は吸収され、それ以外は橙色の蛍光が認められた。CCD拡大カメラにより、彩色の上に油様物質が認められた。地の赤色は、X線回折により辰砂が認められ、朱の使用が確認できた。水鳥の羽毛の白色はX線回折により塩基性炭酸塩が検出され、純正鉛白の使用が確認された。緑色のうち上段の山岳は孔雀石の使用が確認できた。中段の山の孔雀石は確認できなかった。上段・中段の金色の上に緑色を塗っているが、X線回折により金箔の使用が確認できた。
琵琶の捍撥画の下地に高価な朱のみを地色とする例は宝物は珍しい。

管理

  • 名称:紫檀槽琵琶 第4号
  • 倉番:南倉 101
  • 用途:楽器・楽具
  • 技法:木竹工
  • 寸法:全長98.5 最大幅41.2
  • 材質・技法 :槽・鹿頸は紫檀 転手は黒檀 海老尾・絃門は黄楊木 腹板は環孔材 捍撥・落帯は革 彩絵(朱下地・緑・白・金箔) 油塗

出展歴

  1. 1955年 - 第9回
  2. 1967年 - 第20回
  3. 1979年 - 第32回
  4. 1991年 - 第43回
  5. 2002年 - 第54回
  6. 2020年 - 第72回

参考文献

  1. 奈良国立博物館(2008)『正倉院展60回の歩み』奈良国立博物館
  2. 貴島恒夫・嶋倉巳三郎・林昭三(1981)『正倉院宝物の木材材質調査報告』正倉院年報 第3号,p.7
  3. 三宅久雄・成瀬正和(1994)「宝物の調査」正倉院年報 16号 p.61

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