紫檀槽琵琶(したんそうのびわ,Four-Stringed Biwa-Lute)は、正倉院に保存されている四弦琵琶である。
捍撥についてX線回折(X線蛍光分析)を実施した。X線を当てると緑色と金色部分は吸収され、それ以外は橙色の蛍光が認められた。CCD拡大カメラにより、彩色の上に油様物質が認められた。地の赤色は、X線回折により辰砂が認められ、朱の使用が確認できた。水鳥の羽毛の白色はX線回折により塩基性炭酸塩が検出され、純正鉛白の使用が確認された。緑色のうち上段の山岳は孔雀石の使用が確認できた。中段の山の孔雀石は確認できなかった。上段・中段の金色の上に緑色を塗っているが、X線回折により金箔の使用が確認できた。
琵琶の捍撥画の下地に高価な朱のみを地色とする例は宝物は珍しい。
琵琶の捍撥画の下地に高価な朱のみを地色とする例は宝物は珍しい。
- 名称:紫檀槽琵琶 第4号
- 倉番:南倉 101
- 用途:楽器・楽具
- 技法:木竹工
- 寸法:全長98.5 最大幅41.2
- 材質・技法 :槽・鹿頸は紫檀 転手は黒檀 海老尾・絃門は黄楊木 腹板は環孔材 捍撥・落帯は革 彩絵(朱下地・緑・白・金箔) 油塗
- 奈良国立博物館(2008)『正倉院展60回の歩み』奈良国立博物館
- 貴島恒夫・嶋倉巳三郎・林昭三(1981)『正倉院宝物の木材材質調査報告』正倉院年報 第3号,p.7
- 三宅久雄・成瀬正和(1994)「宝物の調査」正倉院年報 16号 p.61
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