縄文時代、弥生時代、古墳時代、飛鳥時代、平安時代など日本古代史の出来事と検討課題の考察を行う。考古学の成果も取り入れ、事実に基づき、合理的な歴史の再構築を図る。

漆背金銀平脱八角鏡(しっぱいきんぎんへいだつのはっかくきょう)は、正倉院に保存されている青銅鋳造の鏡である。

概要

国家珍宝帳に載せられる品である。聖武天皇遺愛の八角鏡である。
鏡背に黒漆を塗り、金・銀の薄板で花鳥文をあらわす。宝飾鏡である。宝飾鏡は鏡本体と鏡背を異なる素材を用いた鏡である。
平脱技法で作成された鏡である。平脱技法は、金あるいは銀の薄板を切って作った文様を鏡の背に配置しておき、漆で塗り固め、さらに文様部分を剥ぎ起こして、文様を完成させる技法である。本作は鏡背に黒漆を塗り、金・銀の薄板により花鳥文をあらわす。

構成

中央に六弁花文を表す鈕を置き、それを花芯として、周囲に宝相華唐草文をあしらう。周囲に飛鳥、草花、蝶、鳳凰、唐草、草花、瑞雲を旋回するように配する。文様は大部分を銀で表すが要所要所に金を用いて華やかさを出す。

素材

波長分散型X線分析(WDS)により銅(Cu)68.9%、錫(Sn)24.9%、鉛(Pb)4.9%であるが、これは唐鏡の平均的な成分と同じとされる(成瀬(2007))。唐からの舶載鏡とされる。

盗難

1230年(寛喜2年)の正倉院宝物の盗難時に8面の鏡が破損されたうちの1品である。1894年(明治27年)に破片14片に不足分2片を用いて、補修が行われた。不足する文様部分も新調された。

管理

  • 名称:漆背金銀平脱八角鏡
  • 倉番:北倉 42
  • 用途:調度
  • 技法:金工
  • 寸法:長径28.5 縁厚0.6 重2928.6
  • 材質・技法 :青銅鋳造(銅約70%・錫約25%・鉛約5%)

出展歴

  • 名称:八角鏡 漆背金銀平脱 第12号
  1. 1956年 - 第10回
  2. 1968年 – 第21回
  3. 1981年 - 特別展『正倉院宝物』(東京国立博物館)
  4. 1989年 - 第41回
  5. 1999年 - 第51回
  6. 2009年 - 第61回
  7. 2022年 – 第74回

参考文献

  1. 奈良国立博物館(2008)『正倉院展60回の歩み』奈良国立博物館
  2. 成瀬正和(2007)「鏡」(年次報告)正倉院紀要, 第29号、pp.101-102
  3. 奈良国立博物館(2022)『正倉院展第74回』仏教美術協会

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