縄文時代、弥生時代、古墳時代、飛鳥時代、平安時代など日本古代史の出来事と検討課題の考察を行う。考古学の成果も取り入れ、事実に基づき、合理的な歴史の再構築を図る。

‘'鳥獣花背円鏡''(ちょうじゅうかはいのえんきょう)は正倉院に収蔵されている背面に獅子・鴛鴦・馬などの鳥獣文および葡萄唐草文を表す円鏡である。

概要

鳥獣花背円鏡は第7号、第8号、第9号の3種類がある。「海獣葡萄鏡」と呼ばれている。

構成

7号、8号とも7世紀後半に盛行したいわゆる海獣葡萄鏡である。鋳上りは極めて良好である。鏡面は平滑でわずかに反る。反面、鏡の背面は起伏に富む。
中央の紐はうずくまる獅子の形で、前足で牡鹿を押さえる。周囲に八組の獅子の親子が、葡萄唐草の輪の中で躍動する。親は翼や角を持つものがあり、霊獣であることが分かる。
内区の外側の細い帯には尾長鳥やヤツガシラ、蝶、蜂、蜻蛉、蟷螂などの小生物が見える。
外区には獅子二種と鴛鴦、孔雀、鹿、鳥、有翼馬、鳳凰が葡萄唐草の中を駆け巡る。

成分分析

第7号は直径24.7cmの円鏡である。鏡面は一部金属光沢があるが、大部分は褐色である。
蛍光X線分析により銅約74.0&、錫24%・鉛4%を含む高錫青銅と判明した。
第8号は蛍光X線分析により銅約66%、錫約22%、鉛約4.5%、そのほかヒ素、ニッケル、銀などを含む。鏡面に紙が貼られ、「重□金一両」と墨書される。
第8号の鏡面は一部に金属光沢を残す。大部分は薄い緑色、褐色の錆でおおわれる。
中国の唐時代の銅鏡に極めて近い成分である。大型の海獣葡萄鏡は初唐に製作されたとの指摘がある。初期の遣唐使が招来した可能性がある。千葉県の香取神宮には本品と同じ型で作られた鏡が伝わる。

展示歴

第7号

  1. 1950年 – 第4回
  2. 1970年 - 第23回
  3. 1987年 - 第39回
  4. 2014年 – 第66回

第8号

  1. 1949年 - 東京国立博物館、御物特別展
  2. 1963年 – 第16回
  3. 1972年 – 第25回
  4. 1986年 – 第38回
  5. 2003年 – 第55回
  6. 2018年 - 第70回

第9号

  1. 1950年 – 第4回
  2. 1959年 - 正倉院宝物展(東京国立博物館)
  3. 1967年 - 第20回
  4. 1978年 – 第31回
  5. 1983年 - 『日本の金工』(東京国立博物館)
  6. 1999年 - 第51回
  7. 2010年 – 第62回
  8. 2022年 - 第74回

管理

第7号

  • 名称 :円鏡 鳥獣花背 第7号
  • 倉番 :南倉 70
  • 用途 :調度
  • 技法 :金工
  • 寸法 :径24.7 縁厚2.0 重3707
  • 材質: 青銅(銅74%・錫24%・鉛4%)鋳造

第8号

  • 名称 :円鏡 鳥獣花背 第8号
  • 倉番 :南倉 70
  • 用途 :調度
  • 技法 :金工
  • 寸法 :径23.9 縁厚1.6 重2719.5
  • 材質: 青銅鋳造 背面に貼紙

第9号

  • 名称 :円鏡 鳥獣花背 第9号
  • 倉番 :南倉 70
  • 用途 :調度
  • 技法 :金工
  • 寸法 :径29.7 縁厚2.0 重5009.0
  • 材質: 青銅鋳造 

参考文献

  1. 奈良国立博物館(2008)「正倉院展60回のあゆみ」奈良国立博物館
  2. 成瀬正和、西川明彦(1997)「宝物の調査」(年次報告)正倉院紀要 第19 号,p.92,95
  3. 成瀬正和、三宅久雄(1995)「宝物の調査」(年次報告)正倉院年報17号 ,p.82

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