縄文時代、弥生時代、古墳時代、飛鳥時代、平安時代など日本古代史の出来事と検討課題の考察を行う。考古学の成果も取り入れ、事実に基づき、合理的な歴史の再構築を図る。

錦履(にしきのくつ, Water spirit ball)は正倉院に収蔵されている革製の履(くつ)である。

概要

履底は牛革2枚を重ねる。表面には文様のある紫地の錦を張る。履き口の周囲を別の錦で補強する。形状が特異であり、サイズも小さいので、女性用履物とする説がある。
内底の皮に「申 我孫伊可麻呂 八一日」と墨書されている。製作者の名前と日付と推測されている。中国新疆ウイグル自治区・トルファン市アスターナ古墳群から出土した「楽伎図」に錦貼りのサンダル様の履物を履く人物が描かれる。錦履は楽舞用の衣装であった可能性がある(参考文献2)。

構成

細くとがらせた先端を反り返らせる。革製の履で先端が花形に広がっていないのは正倉院では唯一の例である(参考文献3)。表に紫地窠文錦、内側に緋絁を貼る。履底は厚さ3cmの牛の一枚革を2枚折りとする。甲・側面・踵を包む上部を2枚の牛革を縫い合わせて継いでいる(参考文献3)。

展示歴

  1. 1949年 – 東京国立博物館、御物特別展
  2. 1994年 – 第46回
  3. 2006年 – 第58回
  4. 2021年 – 第73回

管理

  • 名称 :錦履
  • 倉番 :南倉 143
  • 用途 :服飾品
  • 技法 :皮革
  • 寸法 :長26.6cm,幅8.4cm,爪先高6.3cm
  • 材質:革製 表に紫地錦を貼る 内貼は緋絁 底縁は黒漆塗 内敷は麻布・藺筵

参考文献

  1. 奈良国立博物館(2008)「正倉院展60回のあゆみ」奈良国立博物館
  2. 奈良国立博物館(2021)『第73回正倉院展」仏教美術協会
  3. 尾形充彦・大山明彦(1997)「染色品の整理と修理」正倉院紀要19号,p.99-100

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