縄文時代、弥生時代、古墳時代、飛鳥時代、平安時代など日本古代史の出来事と検討課題の考察を行う。考古学の成果も取り入れ、事実に基づき、合理的な歴史の再構築を図る。

近江令(おうみりょう)は天智天皇?の時代、古代日本で定められた最初の法令である。

概要

近江令の編纂、完成記事は日本書紀にはみえない。原本史料がなく、存在を裏付ける史料にもとぼしいことから、存在説と非存在がある。
『藤氏家伝』天智7年の段に天智天皇は藤原鎌足?に「礼儀」の編纂と「律令」の修訂を命じたとされる。大臣たちは古い礼典の条文を検討しあらましの条文を作成したと記される(沖森卓也、佐藤信訳(2019)『藤氏家伝』)。
弘仁格式?に「天智天皇元年に至り、令22巻を制す。世人のいわゆる近江令である」と記される。(『類聚三代格』)。
日本書紀天智十年(671年)正月条に東宮大海人皇子(ある本には大友皇子と書かれる)は宣命し、冠位と法度を施行し、全国に大赦を行ったと記される。

反論

『藤氏家伝』上や『弘仁格式』序は後代の史料であるから信ずべきものではなく、近江令は存在しなかったという説がある。

青木説

平安時代に皇統が天武系から天智系に変ったため、天智天皇の時代を律令制の出発点を置こうとしたが、「近江朝廷の令22巻」は飛鳥浄御原令を指していると考えられている(弘仁格式?)。
青木和夫説は近江令は単独の法令の集成を意味し、体系的法典としての令は編纂されなかったとする(青木和夫(1992))。

史料

  • 日本書紀天智十年(671年)正月条
  • (原文) 十年春正月己亥朔庚子・・・東宮太皇弟奉宣或本云大友皇子宣命施行冠位法度之事、大赦天下。法度冠位之名、具載於新律令也。

参考文献

  • 井上光貞、佐伯有清、川副武胤(2020)『日本書紀』中央公論新社
  • 坂本太郎, 井上光貞,家永三郎,大野晋 (1994)『日本書紀』岩波書店
  1. 沖森卓也、佐藤信訳(2019)『藤氏家伝』筑摩書房
  2. 大津透(2020)『律令国家と隋唐文明』岩波書店
  3. 青木和夫(1992)『日本律令国家論攷』岩波書店
  4. 大津透『律令制とは何か』山川出版社

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

フリーエリア

よろしければランキング投票してください
にほんブログ村 歴史ブログ 考古学・原始・古墳時代へ
にほんブログ村

フリーエリア

PVアクセスランキング にほんブログ村

メンバーのみ編集できます