縄文時代、弥生時代、古墳時代、飛鳥時代、平安時代など日本古代史の出来事と検討課題の考察を行う。考古学の成果も取り入れ、事実に基づき、合理的な歴史の再構築を図る。

銀薫爐(ぎんくんろ,Silver Insence Burner)は正倉院に収蔵されている衣服に香を焚きしめる金属製の道具である。「銀薫炉」とも書く。

概要

球形の金属製の香炉であり、ペルシャ風の透かし彫りの地に毛彫りで文様を表現している。

構成

銀鍛造である。火皿を常に水平に保つ仕掛けがある。表面は宝相華唐草文の地に獅子?鳳凰を配した文様を描き、間地を切り透かす。赤道に当たる部分で上下に分割できる。下半分の内側に鉄製の火皿を備える。全体がどのような角度になっても、中の香炉?は水平を保つように作られている。内面と外面を轆轤挽きで仕上げる。

由来

屏風花氈等帳?に記載される。正倉院には銀薫爐として本品が1点、薫炉として「銅薫炉」が1点ある。定州市博物館に「鏨字銀薫爐」があるが、三本の獣足があり、炉蓋の上に蓮華形のつまみがあり、形は全く異なる。北宋時代である。1963年に中国陝西省西安市の沙坡村から出土したリュウ金鏤空花鳥球形銀香薫は本品によく似る球形である。香球は、晋の葛供の「西京雑記」に記されており、発明したのは房風とされている。南宋の「老字庵記」に天子の親戚の人たちが宮廷に行く様子が書かれており、婦女子が乗る牛車の牛の鞍や腰に大きな香球をつけて走らせ、あるいは髪に付けた小さいカツラに香球を入れていた。牛車が走り去ると香の煙が雲のようにたなびき素晴らしい香りがしたという。
これらのことから唐からの招来品と考えられる。

材料

内面に残る鎚痕と鬆穴が確認できにところから、鍛造と考えられる(参考文献1,p.109)。

展示歴

  1. 1949年 - 東京国立博物館、御物特別展。
  2. 1953年 - 第7回
  3. 1959年 - 正倉院宝物展(東京国立博物館)
  4. 1984年 - 第36回
  5. 1990年 - 『日本美術名品展』(東京国立博物館)
  6. 1996年 - 第63回
  7. 2009年 - 『皇室の名宝―日本美の華』二期
  8. 2019年 - 正倉院の世界―皇室がまもり伝えた美―(東京国立博物館

管理

  • 名称 :銀薫爐
  • 倉番 :北倉 153
  • 用途 :調度
  • 技法 :金工
  • 寸法 :横径18.0cm,縦径18.8cm,重1550.0g,台径上部9.6cm,高2.2cm,総高20.0cm
  • 材質:銀製球形香炉 鍛造 中程で蓋・身に分離 身内面に鉄炉を三重環で取付(下半球は新補)

参考文献

  1. 奈良国立博物館(2008)『正倉院展六十回のあゆみ』奈良国立博物館
  2. 「年次報告」正倉院紀要25号,p.109〜114

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