銀薫爐(ぎんくんろ,Silver Insence Burner)は正倉院に収蔵されている衣服に香を焚きしめる金属製の道具である。「銀薫炉」とも書く。
屏風花氈等帳?に記載される。正倉院には銀薫爐として本品が1点、薫炉として「銅薫炉」が1点ある。定州市博物館に「鏨字銀薫爐」があるが、三本の獣足があり、炉蓋の上に蓮華形のつまみがあり、形は全く異なる。北宋時代である。1963年に中国陝西省西安市の沙坡村から出土したリュウ金鏤空花鳥球形銀香薫は本品によく似る球形である。香球は、晋の葛供の「西京雑記」に記されており、発明したのは房風とされている。南宋の「老字庵記」に天子の親戚の人たちが宮廷に行く様子が書かれており、婦女子が乗る牛車の牛の鞍や腰に大きな香球をつけて走らせ、あるいは髪に付けた小さいカツラに香球を入れていた。牛車が走り去ると香の煙が雲のようにたなびき素晴らしい香りがしたという。
これらのことから唐からの招来品と考えられる。
これらのことから唐からの招来品と考えられる。
- 名称 :銀薫爐
- 倉番 :北倉 153
- 用途 :調度
- 技法 :金工
- 寸法 :横径18.0cm,縦径18.8cm,重1550.0g,台径上部9.6cm,高2.2cm,総高20.0cm
- 材質:銀製球形香炉 鍛造 中程で蓋・身に分離 身内面に鉄炉を三重環で取付(下半球は新補)
- 奈良国立博物館(2008)『正倉院展六十回のあゆみ』奈良国立博物館
- 「年次報告」正倉院紀要25号,p.109〜114
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