縄文時代、弥生時代、古墳時代、飛鳥時代、平安時代など日本古代史の出来事と検討課題の考察を行う。考古学の成果も取り入れ、事実に基づき、合理的な歴史の再構築を図る。

‘'最勝王経帙''(さいしょうおうきょうのちつ,Sutra Wrapper for the Golden Splendor Sutra)は正倉院に収蔵されている経巻を巻いて束ねた帙である。「織成最勝王経帙」ともいう。

概要

帙は書物を保護するために包みこむ覆いである。「最勝王経」は仏教の経典?の一つで、金光明最勝王経のことである。経巻を十巻まとめて保管するための長方形の包みである。
「天下諸国毎塔安置金字金光明最勝王経」「依天平十四年歳在壬午春二月十四日勅」の文字を編み表す。紫紙金書金光明最勝王経十巻を収めていた。本品は東大寺に金光明最勝王経を奉納したときに使われた包みと推測される。
続日本紀?には国分寺?設置の勅は天平十三年三月十四日とし、類聚三代格、政事要略、院蔵の勅書銅板には天平?十三年二月十四日と書かれており、以前から発勅の年次に議論があった。喜田貞吉?博士、竹内理三博士は本銘をもってもっとも正しい年次とした。しかし帙銘だけで多くの資料を否定することは不合理である、とする説もある。
経典は天平十二年、天平十三年からはかなり降って製作されている。帙も同様と推測される。時代が下った製作段階で年次を1年間違った可能性もある。

構成

竹ひごを緯の芯とし、紫と白の絹糸を捩り編みみし、文様と文字を織り出す。裏の中ほどに巻子を括るための内帯を縫い付ける。縁の一端に山形の帙帯を付け、そこに外帯を取り付ける。文様は迦陵頻伽(かりょうびんが)を葡萄唐草で囲んだ円文を主文とし、これを二つ並べて、その間に覗花文を並べる。

材質

竹と絹。竹帙の本体部に縁裂や裏裂を付ける。

展示歴

最勝王経帙

  1. 1947年 - 第2回
  2. 1964年 – 第17回
  3. 1974年 – 第27回
  4. 1980年 – 『東大寺展』(東京国立博物館)
  5. 1994年 – 第46回
  6. 2006年 – 第58回
  7. 2017年 – 第69回

管理

  • 名称 :最勝王経帙
  • 倉番 :中倉 57
  • 用途 :文房具
  • 技法 :木竹工
  • 寸法 :縦30cm,横53cm
  • 材質:竹ひごを絹糸(白・紫)で編んだもの、縁は黄地錦、裏は緋綾 帯・山形は表黄地錦、裏緋綾 組紐帯、内帯は緋綾

参考文献

  1. 松嶋順正(1980)「銘識より見た正倉院宝物」([正倉院年報]2号 p.31
  2. 奈良国立博物館(2008)「正倉院展60回のあゆみ」奈良国立博物館

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