全浅香(ぜんせんこう,Incence Wood)は、正倉院に保存されている香木である。雅称は紅塵（こうじん）。
概要
沈香の種類
切り取り
管理
出展歴
参考文献
概要 
沈香の種類
沈香の樹脂の比重は水より大きい。沈香の浮沈が定まらないものを浅香、水に浮かぶものを黄熟香という。沈香のうち樹脂の沈着の程度が低いものが浅香である。香質が同じでも、沈香として産地により差がある。
沈香は東南アジアでのみ産する。インド、タイ、ボルネオ、スマトラ（インドネシア）からフィリピンなどである。沈香を得ることが可能な植物は、沈丁花科のAquilaria agallocha Roxburgh, Aquilaria crassna Pierre ex Lecomte など12種が知られている。30年生以下の新鮮な若木では精油分がなく、無臭である。50年以上の老木や倒木で土中に埋もれ年代を経たものに樹脂分が沈着し、よい香を放つ沈香となる。樹脂分が多く沈着しているものほど黒く重くなり水に沈むので、沈水香を略して沈香と名付けられる。堅く漆黒の高級品は伽羅、伽楠香などと呼ばれる。
摂南大学の薬学部・薬学科 中西勤教授は各種の沈香及び伽楠香などの精油成分を調べ、10数種のセスキテルペンの構造を決定した。セスキテルペンのうち、アガロスピロール、ジンコール、クスノール及び10−エピ−γ−オイデスモールはそれぞれに微妙に異なる強い芳香を有しており、沈香の香りの元となる(参考文献2)。ラオスからベトナムのかけて産する沈香に近い特徴があると報告される。
沈香は東南アジアでのみ産する。インド、タイ、ボルネオ、スマトラ（インドネシア）からフィリピンなどである。沈香を得ることが可能な植物は、沈丁花科のAquilaria agallocha Roxburgh, Aquilaria crassna Pierre ex Lecomte など12種が知られている。30年生以下の新鮮な若木では精油分がなく、無臭である。50年以上の老木や倒木で土中に埋もれ年代を経たものに樹脂分が沈着し、よい香を放つ沈香となる。樹脂分が多く沈着しているものほど黒く重くなり水に沈むので、沈水香を略して沈香と名付けられる。堅く漆黒の高級品は伽羅、伽楠香などと呼ばれる。
摂南大学の薬学部・薬学科 中西勤教授は各種の沈香及び伽楠香などの精油成分を調べ、10数種のセスキテルペンの構造を決定した。セスキテルペンのうち、アガロスピロール、ジンコール、クスノール及び10−エピ−γ−オイデスモールはそれぞれに微妙に異なる強い芳香を有しており、沈香の香りの元となる(参考文献2)。ラオスからベトナムのかけて産する沈香に近い特徴があると報告される。
切り取り
過去に切り取られたことがある。点検時の墨書「斉衡三年六月廿□」の後半部分が欠けているが、856年以降に切り取られたことが伺える。光仁十三年(822年)には仏教儀礼のために切り取られて使用された記録がある。
管理
- 名称：全浅香
- 倉番：北倉 41
- 用途：薬物
- 技法：木竹工
- 寸法：長105.5 重16.65��
- 材質・技法 ： 香木
出展歴
- 1962年 - 第15回
- 1987年 - 第39回
- 1997年 - 第49回
- 2008年 - 第60回
- 2022年 - 第74回
参考文献
- 奈良国立博物館（2008）『正倉院展60回の歩み』奈良国立博物館
- 米田該典(2000)「全浅香､黄熟香の科学調査」正倉院年報2号,pp.34〜35
- 中西勤(1986)「精油および沈香の芳香とその化学」摂南大学図書館報,No8
- 資料館生薬データベース「沈香」富山大学
タグ
コメントをかく