古代の製鉄(こだいのせていてつ, Ancient Steelmaking)は古代に行われた製鉄を概観する。
概要
鋳鉄と鋼の違いは次の通り
時代別概観
縄文時代
弥生時代
小丸遺跡のAMS測定結果
古墳時代
参考文献
概要 
製鉄とは鉄鉱石から鋼をつくる工程をいう。銑鉄をつくる工程は製鉄または製銑という。銑鉄から鋼をつくる工程を製鋼という。
鋳鉄と鋼の違いは次の通り
| 特性名称 | 錬鉄 | 鋼鉄 | 鋳鉄 |
| 炭素量 | 0.02-0.2% | 0.3-2.1% | 2.14-6.7% |
| 特徴 | 強度が劣る | 強度がある | 脆い |
| 酸化 | しやすい | しにくい | しにくい |
| 加工 | 難しい | 加工しやすい | 切削加工は容易 |
時代別概観
縄文時代
弥生時代
弥生時代前期には斉藤山貝塚?(熊本県玉名市)で鉄斧が出土した。そのほか山の神遺跡?(山口県)から一字形鋤先は松井によれば、中国戦国時代の鋤先という。高橋貝塚?(鹿児島県南さつま市)の鉄片、中山貝塚?(広島市)の刀子が出土している。
弥生時代初期の鉄器は朝鮮半島からの舶載品であった。しかし、日本列島内で鍛冶工程が行われるようになる。弥生時代後期に木製の鍬や鋤の刃先が生産された。弥生時代の吉野ヶ里遺跡では刀子、袋状鉄斧、鋳造鉄斧、鎌、方形鍬、鋤先などが出土している。
弥生時代の武器は前期から中期中葉まで、青銅製であった。銅剣・銅矛・銅戈?、銅鏃?などである。弥生時代中期中葉になると、鉄製の武器が登場し、鉄剣、鉄刀、鉄戈、鉄鏃など特に北部九州が中心であった。
松井和幸は弥生時代後期に素材・鉄を国産化したと主張する。ただし裏付けとなる遺跡は多くない。五徳畑ヶ田遺跡では弥生時代前期から中期にかけての土坑中から大人の握りこぶし大の鉄鉱石がみつかっている。これだけでは製鉄が行われていた証拠にはならないが、製錬滓
その１として阿蘇リモナイトの分布域にある弥生時代の遺跡に大量の鉄器が出土している。リモナイト製鉄が弥生時代にあった可能性を示唆する。しかし弥生時代の製鉄遺構は発見されていない。
その２として小丸遺跡?（広島県三原市）を指摘する。1990年から1991年にかけて広島県埋蔵文化財センターによる発掘調査が行われ、製鐵炉が確認された。松井和幸によれば2基のうち、SF１号炉は弥生時代と考えているという。しかし、反対意見もある製鉄炉の炉床は直径50cm、深さ25cmに炭粉を含む円形のすり鉢状穴があり、直径60cm、深さ15cm程度の鉄滓が詰まった円形の穴が検出された。周囲から鉄滓、鉄鉱石、弥生時代の土器が出土した。地球科学研究所で加速器放射性年代測定(AMS年代測定)を行ったが、中央炉床からの木炭が8世紀代、左右の排滓穴からの木炭が3世紀代との結果が出た。松井和幸は弥生時代後期の集落から出ている事、製鐵炉が古い形式であること、原料が鉄鉱石であること、木炭粉のAMS年代が3世紀であること等を根拠に弥生時代後期の製鉄炉と結論づけている。
反対意見の研究者の見解も聞いてみたい。
弥生時代初期の鉄器は朝鮮半島からの舶載品であった。しかし、日本列島内で鍛冶工程が行われるようになる。弥生時代後期に木製の鍬や鋤の刃先が生産された。弥生時代の吉野ヶ里遺跡では刀子、袋状鉄斧、鋳造鉄斧、鎌、方形鍬、鋤先などが出土している。
弥生時代の武器は前期から中期中葉まで、青銅製であった。銅剣・銅矛・銅戈?、銅鏃?などである。弥生時代中期中葉になると、鉄製の武器が登場し、鉄剣、鉄刀、鉄戈、鉄鏃など特に北部九州が中心であった。
松井和幸は弥生時代後期に素材・鉄を国産化したと主張する。ただし裏付けとなる遺跡は多くない。五徳畑ヶ田遺跡では弥生時代前期から中期にかけての土坑中から大人の握りこぶし大の鉄鉱石がみつかっている。これだけでは製鉄が行われていた証拠にはならないが、製錬滓
- 弥生時代の製鉄
その１として阿蘇リモナイトの分布域にある弥生時代の遺跡に大量の鉄器が出土している。リモナイト製鉄が弥生時代にあった可能性を示唆する。しかし弥生時代の製鉄遺構は発見されていない。
その２として小丸遺跡?（広島県三原市）を指摘する。1990年から1991年にかけて広島県埋蔵文化財センターによる発掘調査が行われ、製鐵炉が確認された。松井和幸によれば2基のうち、SF１号炉は弥生時代と考えているという。しかし、反対意見もある製鉄炉の炉床は直径50cm、深さ25cmに炭粉を含む円形のすり鉢状穴があり、直径60cm、深さ15cm程度の鉄滓が詰まった円形の穴が検出された。周囲から鉄滓、鉄鉱石、弥生時代の土器が出土した。地球科学研究所で加速器放射性年代測定(AMS年代測定)を行ったが、中央炉床からの木炭が8世紀代、左右の排滓穴からの木炭が3世紀代との結果が出た。松井和幸は弥生時代後期の集落から出ている事、製鐵炉が古い形式であること、原料が鉄鉱石であること、木炭粉のAMS年代が3世紀であること等を根拠に弥生時代後期の製鉄炉と結論づけている。
反対意見の研究者の見解も聞いてみたい。
小丸遺跡のAMS測定結果
データにかなりばらつきがあることと、測定が１団体だけなので、信頼性に疑問がある。
1240と1230があるので、それを採用すると紀元後800年代と思われる。
1240と1230があるので、それを採用すると紀元後800年代と思われる。
| 遺跡名 | AMS年代 | 時代区分 | 測定法 | 測定機関 |
| 小丸遺跡 | 1240± 170 | 弥生時代･古墳時代 | AMS法 | 株式会社地球科学研究所 |
| 小丸遺跡 | 1710± 170 | 弥生時代･古墳時代 | AMS法 | 株式会社地球科学研究所 |
| 小丸遺跡 | 1640± 150 | 弥生時代･古墳時代 | AMS法 | 株式会社地球科学研究所 |
| 小丸遺跡 | 1230± 220 | 弥生時代･古墳時代 | AMS法 | 株式会社地球科学研究所 |
| 小丸遺跡 | -30± 160 | 弥生時代･古墳時代 | AMS法 | 株式会社地球科学研究所 |
古墳時代
（未完）
参考文献
- 松井和幸(2022)『鉄の日本史』筑摩書房
- 北九州市立考古博物館(1995)「弥生の鉄文化とその世界」北九州市立考古博物館
- 長崎市教育委員会(2011)「小原下遺跡�供彡杭蟷垓軌薜儖�会
- 長崎県立国見高等学校社会科研究クラブ「小原下遺跡報告 : 長崎県南高来郡有明町大三東に所在する 第1次発掘調査」長崎県立国見高等学校社
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