縄文時代、弥生時代、古墳時代、飛鳥時代、平安時代など日本古代史の出来事と検討課題の考察を行う。考古学の成果も取り入れ、事実に基づき、合理的な歴史の再構築を図る。

車駕之古址古墳(しゃかのこしこふん)は和歌山県和歌山市木ノ本に所在する古墳時代中期の前方後円墳である。

概要

紀ノ川の北岸の和泉山脈の南麓にある前方後円墳である。周濠・造り出し・段築・葦石?など本格的な施設をもつ和歌山県内で最大規模の古墳である。墳丘は二段に築造され、南側には「造り出し」と呼ばれる方形の祭壇がある。古墳の斜面は拳大から人頭大の川原石の葺石で一面に覆われている。濠の外周を含めた古墳の総延長は120mである。
金製勾玉は金約64%、銀約34%、銅少々からなる合金である。長さ18ミリ、頭部径8ミリ、重さ1.6グラム。

調査

発掘調査が四次にわたり行われた。紀伊では初めてとなる囲形埴輪が出土した。

1986年(昭和61年)の調査

 幅4m-5m、深さ0.3mから0.5mの大溝が検出された。外周溝の可能性が指摘された。
後円部外側のトレンチ調査により、全長75-80m、後円部直径50m、前方部幅50mの規模が判明した(参考文献2)。

1989年調査

 詳細な測量図を作成した。ガラス小玉11点、碧玉製管玉1点を検出した(参考文献2)。

1990年調査(第二次)

 長さ16mの作り出しを検出した。後円部南斜面より金製勾玉を検出した。周濠内堆積より多数の円筒埴輪、朝顔形埴輪 形象埴輪を発見した。形象埴輪には、家 、囲み、蓋等がある。周濠・段築・葺石、造り出し、豊富な埴輪など、本格的な中期古墳であることが立証された(参考文献2)。

1990年調査(第三次)

後円部斜面の堆積土から直径 2〜 9mmの ガラス玉を200点 以 上発見した。色調は、濃いブルーが大半でその他、透明、赤・黄、緑・茶色が少量である(参考文献2)。

1992年調査(第四次)

葺石の積み上げの角度は、外堤側で約15度であった。埴輸?・瓦器、上師質土器が出土した。

1993年調査(第五次)

周濠の内部には丁寧に積み上げられた葺石が見られた。約10cmの和泉砂岩の河原石が多い。出上した埴輪は、ほとんどが円筒埴輸であった。復元された古墳の規模は、全長約86m、 後円部直径約51m、 くびれ部幅約33m、 前方部幅約62m、 前方部長約41m、 後円部の高さ4.Om以上である。古墳築造年代は5世紀中頃から後半期の年代とされた。

遺構

  • 長持形石棺
  • 周濠

遺物

  • 金製勾玉 - 日本で唯一の遺品
  • 埴輪の破片
  • ガラス小玉

指定

  • 平成6年4月20日 和歌山県指定文化財(史跡)

アクセス等

  • 名称:車駕之古址古墳
  • 形式:前方後円墳
  • 被葬者:当時の紀の川の川北岸を支配していた豪族の首長
  • 築造時期: 古墳時代中期(5世紀)
  • 全長:86m
  • 前方部幅:41m
  • 前方部長さ:35m
  • 後円部直径:51m
  • 高さ:8m
  • 入場料:
  • 所在地:和歌山県和歌山市木ノ本724番地
  • 交通:

参考文献

  1. 大塚初重(2019)『巨大古墳の歩き方』宝島社
  2. (財)和歌山市文化体育振興事業団(1984)『車駕之古址古墳 範囲確認調査概報』和歌山市文化体育振興事業団調査報告書 第 9集

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