縄文時代、弥生時代、古墳時代、飛鳥時代、平安時代など日本古代史の出来事と検討課題の考察を行う。考古学の成果も取り入れ、事実に基づき、合理的な歴史の再構築を図る。

象木臈纈屏風(ぞうきろうけちのびょうぶ)は、正倉院に保存されている型押し蝋防染・顔料彩色による屏風である。

概要

国家珍宝帳記載の献納宝物である。国家珍宝帳に「臈纈屏風十畳、各六扇、高五尺五寸、廣一尺九寸、碧絶背 染木画帖 漆鐡打 楷布袋」とあるものの一扇である。
「橡地象羊木屏風」の名で記される屏風を構成していた一扇である。
上部には猿の休んでいる樹木と飛ぶ鳥、中央部に象、下部に疾走する猪と奇岩を描く。枝葉、岩、草叢は型を用い、方向に変化をつけ、端正で自由な変化のある構図としている。

技法

型押し蝋防染・顔料彩色による屏風の画面。ロウケツ染の技法は、中国の伝統紡織染物工芸で、絞り染め、型染めと並び、中国古代の三大模様染め技術とされる。平絹を黄色に染色した上で、溶かした蝋を筆にとって生地に模様を描き、その上から茜の染料で重ね染めし、熱で蝋を除去すると、蝋で隠されていた文様部分は染まらず、それ以外の部分に文様が浮かび出る。文様部分にはさらに顔料で彩色された。
蛍光X線分析により多量の鉛が使用されていることが判明した。象の体の白身がかかった黄色部分などに使われている。屏風の褐色地は三次元蛍光分析により茜が使用されていると判明した。

管理

  • 名称:象木臈纈屏風
  • 倉番:北倉 44
  • 用途: 調度
  • 技法:染織
  • 寸法:長163.0 幅56.1 本地長154.5 幅52.5
  • 材質・技法 :紙本で地は緑青吹付、篆書は雉・山鳥の羽毛、楷書は丹色点描

出展歴

  • 名称:象木臈纈屏風
  1. 1946年 - 第1回
  2. 1964年 - 第17回
  3. 1975年 - 第28回
  4. 1981年 - 特別展『正倉院宝物』(東京国立博物館)
  5. 1992年 - 第44回
  6. 1995年 - 第47回
  7. 2010年 - 東大寺大仏−天平の至宝−」展(東京国立博物館)
  8. 2022年 - 第74回

参考文献

  1. 奈良国立博物館(2008)『正倉院展60回の歩み』奈良国立博物館
  2. 奈良国立博物館(2022)『正倉院展』、仏教美術協会
  3. 東京国立博物館(1981)『特別展 正倉院宝物』東京国立博物館
  4. 尾形充彦、成瀬正和、中村力也、西川明彦(2007)「屏風」(年次報告) 、正倉院紀要29号

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