縄文時代、弥生時代、古墳時代、飛鳥時代、平安時代など日本古代史の出来事と検討課題の考察を行う。考古学の成果も取り入れ、事実に基づき、合理的な歴史の再構築を図る。

瑠璃壷(るりのつぼ,Blue Glass Jar)は奈良県奈良市正倉院に伝わる紺色ガラス製の唾壷である。

概要

濃紺のガラスで、漏斗状に大きく開く口縁をもつ。もともと、貴人が室内で唾を吐くときに用いる用具である。「唾壺(だこ)」と呼ばれる。

技法

アルカリ石灰ガラス製で発色はコバルトによる。胴部は宙吹き技法である。口縁部は巻き付け技法で成形される。

由来

記録より、1021年(治安元年)、平致経東大寺に施入したものと判明している。
中国では唾壺の使用例は漢代にさかのぼる。楽浪郡の出土では漆製や金銅製の唾壺が報告されている(参考文献4)。

類例

  • 紺瑠璃壺 イラン、レイ出土、7世紀から9世紀、スェーデン国立博物館蔵
  • 紺瑠璃壺 タシュケント出土、15世紀、タシュケント国立博物館蔵

模造で分かった事

器のデザインが先行した形状である。由水常雄によればガラスの性質を考慮していない(参考文献1,p.102)。ヴェネツィアのベテラン・マエストロでも同じ形状はできなかった。首の部分の鋭角的な形状を作ることが難しい。宋代はガラス技術が未発達であったため、デザインだけ作り、西トルキスタンのガラス工房に発注していたとみられる(参考文献1,p.102)。

展示歴

  1. 1994年? - 第46回
  2. 2005年? – 第57回
  3. 2019年? - 正倉院の世界―皇室がまもり伝えた美―(東京国立博物館

管理

  • 登録名:瑠璃壷
  • 倉番 : 中倉 71
  • 用途 : 調度
  • 技法 : ガラス
  • 寸法 : 口径11.7cm,胴径8.3cm,高9.0cm,重121g
  • 材質・技法 : アルカリ石灰ガラス(紺色)

参考文献

  1. 由水常雄(1994) 『正倉院ガラスは何を語るか』中央公論新社
  2. ドロシー・ブレイア・岩田糸子・吉田晃雄・上松敏明訳(1998)『日本の硝子史』日本硝子製品工業会
  3. 奈良国立博物館(2008)「正倉院展六十回のあゆみ」奈良国立博物館
  4. 朝鮮古蹟研究會(1935)「樂浪彩篋塚」史林 20(2), pp.417-419
  5. 正倉院事務所(1965)『正倉院のガラス』日本経済新聞社

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

フリーエリア

よろしければランキング投票してください
にほんブログ村 歴史ブログ 考古学・原始・古墳時代へ
にほんブログ村

フリーエリア

PVアクセスランキング にほんブログ村

メンバーのみ編集できます