縄文時代、弥生時代、古墳時代、飛鳥時代、平安時代など日本古代史の出来事と検討課題の考察を行う。考古学の成果も取り入れ、事実に基づき、合理的な歴史の再構築を図る。

白牙尺(はくげのしゃく、びゃくげのしゃく)は、正倉院に保存されている象牙製の物指である。

概要

国家珍宝帳に「白牙尺二枚」と記載があり、二枚とも現存する。二枚とも同じ寸法である。当時の1尺は29.7cmとなる。目盛りの刻線の彫り方は『特別展 正倉院宝物』に出た方が細かく刻まれる。

正倉院 の「ものさし」

正倉院に現存する「ものさし」は紅牙撥鏤尺が6枚、緑牙撥鏤尺が2枚、斑犀尺1枚、木尺1枚、未造了尺が2枚、白牙尺が2枚の合計14枚である。

文化財の盗人

明治8年の奈良博覧会で赤漆文欟木御厨子の1枚の扉が紛失した。博覧会の関係者であった副知事の藤井千尋の自宅で発見され、返却された。
1872年(明治5年)、町田久成を団長とする全国社寺調査団が正倉院を調査した折、調査員の蜷川式胤が紅牙撥鏤尺2枚、緑牙撥鏤尺1枚、白牙尺4枚の合計7枚を無断で持ち出し、自宅の蔵に隠し持っていた。蜷川式胤は、エドワード・S・モースとその友人で大富豪のウィリアム・スタージス・ビゲロー(日本古美術最大のコレクター)のアドバイザーとして、彼らのコレクションに協力していた。モースの陶器コレクション(ボストン美術館蔵)は、そのほとんどが蜷川式胤が集めたものとされる。蜷川式胤の死後の売立て目録に正倉院の宝物が見つかり、しかも2000年には蜷川家の人物から「蜷川家の蔵に撥鏤尺があり、正倉院にお返ししたい」と申し出があったのである(由水常雄(2006))。

管理

名称:白牙尺

  • 倉番:北倉 15
  • 用途: 儀式具
  • 技法:牙甲角
  • 寸法:長 29.7cm,巾3.6cm弱,厚1.0cm
  • 材質・技法 :象牙

出展歴

  • 名称:白牙尺
  1. 1953年 - 第7回
  2. 1956年 - 第10回
  3. 1968年 - 第21回
  4. 1971年 - 第24回
  5. 1985年 - 第37回
  6. 2000年 - 第52回
  7. 2006年 - 第58回

参考文献

  1. 奈良国立博物館(2008)『正倉院展60回の歩み』奈良国立博物館
  2. 東京国立博物館(1981)『特別展 正倉院宝物』東京国立博物館
  3. 由水常雄(2006)『天皇のものさし』、麗澤大学出版会

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