縄文時代、弥生時代、古墳時代、飛鳥時代、平安時代など日本古代史の出来事と検討課題の考察を行う。考古学の成果も取り入れ、事実に基づき、合理的な歴史の再構築を図る。

白石鎮子 辰・巳(はくせきのちんす たつ み, Relief marble weight,With dragon and serpent in relief)は、正倉院に保存されている大理石のレリーフである。

概要

十二支のうち辰と巳を組み合わせた図柄のリリーフである。正倉院に四神と十二支を大理石製の板1枚に2体ずつ浮き彫りにした品が8枚伝わる。すなわち白石鎮子は「子・丑」「寅・卯」「辰・巳」「午・未」「申・酉」「戌・亥」の6枚と、「玄武白虎」「青龍朱雀」の2枚からなり、合計8枚である。四神は古代中国で四つの方角を守る聖獣の「玄武白虎」「青龍朱雀」である。辰・巳の裏面に「泰司」の墨書があるが、意味は不明である。北京付近から算出した大理石を使用しているので、中国唐時代(8世紀)の作とされる。

文様

現在のロシアやウクライナに紀元7世紀頃からいた古代の遊牧民族スキタイの芸術に表現される「動物闘争文」の影響とみられているものの、動物の闘争には見えないとの説がある。

材質

象牙色の結晶質石灰岩(大理石)であることはX線回折で確認された。紫外線による蛍光はみられない(益富寿之助他(1988))。

用途

鎮子は重しの意味であるが正確には用途不明である。建築物の壁にはめ込まれた装飾板という説がある。「国家珍宝帳」記載の白石鎮子に比定されていた。しかし記録には「白石鎮子十六箇 師子形八 牛形六 兎形二」と記載されているが、実際に残る宝物の数や描かれたものの種類が異なっている。宝物の裏面が研磨されていないこと、814年(弘仁5年)に貸し出されて、その後の返却記録がないため別物説が有力となっている。国家珍宝帳記載の宝物は本作とは別物とみられる。大阪市立美術館?の内藤栄館長(仏教美術史)は、唐・太宗の陵墓の碑(7世紀前半)の台座に施された文様に着目している。台座には、2体の神獣が向き合うように配置され、周囲には細かく渦を巻く雲形文が表現されている。内藤館長は「白石鎮子とモチーフは完全に一致する。重しではなく、何らかの台座の側面部分だったことはまず間違いないだろう」と語る。

管理

  • 名称:白石鎮子 寅・
  • 倉番:北倉 24
  • 用途:調度
  • 技法:石製品
  • 寸法:縦21.4 横32.8 厚4.8 重9441
  • 材質・技法 :大理石

出展歴

  1. 1964年 - 第17回
  2. 1988年 - 第40回
  3. 2022年 - 第74回

関連宝物

参考文献

  1. 奈良国立博物館(2022)『正倉院展 第74回』仏教美術協会
  2. 益富寿之助・山崎一雄・藤原卓(1988)「石製宝物の材質調査報告」正倉院紀要第10号
  3. 「重し 実は台座の飾り板 ?」読売新聞2022年11月11日

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