古代史の散歩道

京都市右京区の平地にある太秦古墳群を構成する貴重な古墳である。２段築成?で周濠がある。後円部西北に陪塚?（円墳）がある。
後円部に構築された横穴式石室は２基ある。後円部西側に開口する石室は奥壁よりに稲荷が祀られる。墳丘表面で円筒埴輪が検出されている。秦氏の墓とする説が有力であるが、渡来系氏族である秦氏の本拠地としては、大陸由来の要素がある遺物が少ないとの指摘がある。

発掘調査は未実施。明治20年に最初の調査が行なわれ、石室内部から、銅鏡、鉄剣、馬具、玉類、須恵器、鍍金を施した玉などの副葬品が出土した。石室の側壁石は壊石乱石積で築かれ、天井石はほぼ一直線をなす。持ち送りは著しくない。

• 築成 前方部：2段、後円部：2段
• 墳長 71m
• 後円部 径41m　高7m
• 前方部 幅47m　長36m　高7m
• 羨道長　3mｍ、幅1.2m、高さ1.5m。

• 横穴式石室（無袖式）
• 横穴式石室（右片袖式）
• 葺石:なし
• 周濠は馬蹄形。
• 周濠の外に接して小円墳がある。

京都大学総合博物館?で 天塚古墳の出土品を保管する（常設展示なし）。副葬品はどちらの石室からの出土か不明である。

• 四乳四獣鏡 1（五獣鏡1） -　倣製鏡?
• 銅鏡3　-　倣製鏡
• 碧玉 92、
• ガラス小玉373、ガラス小玉45。
• 管玉 9
• 金銅製装身具破片 20。
• 鉄剣破片 1、
• 鍍金刀類 2
• 鉄刀破片 7、
• 鉄鏃　
• 捩環頭 1。
• 長頸片刃矢形破片　50。
• 挂甲?小札 70。
• 馬具
  • 轡片 1、
  • 馬具片 1
  • 鉄地金銅張ｆ字形鏡板、
  • 剣菱形杏葉　- 鉄地金銅製
  • 変形剣菱形杏葉、
  • 辻金具?、
  • 鞍金具他
• 陶祭器 1 須恵器
• 広口壷 1　須恵器
• 器台 1（MT15）　須恵器

築造時期は、6世紀前半と推定される。

• 1978年（昭和53年）3月3日、国の史跡に指定。

• 名称：天塚古墳
• 所在地：京都府京都市右京区太秦松本町18
• 交通： 京福電気鉄道嵐山本線蚕ノ社駅から10分

1. 肥後和男・竹石健二(1973)「日本古墳100選」秋田書店
2. 大塚初重(1996)『古墳辞典』東京堂出版
3. 近藤義郎 編(1983) 『吉島古墳（新宮町文化財調査報告 4）』新宮町教育委員会、1983年。